- クロスカラーウォーズ 第二話:因縁の再燃、東京湾の静戦(1)
- 【白チーム】高台の倉庫屋上
- 【黒チーム】入り組んだ倉庫群の影
- 【赤チーム】埠頭の東側、コンテナの影
- クロスカラーウォーズ 第二話:因縁の再燃、東京湾の静戦(2)
- 【青チーム】巨大クレーンの頂上
- 【緑チーム】埠頭北側の入り組んだ倉庫群
- 【紫チーム】埠頭の南側、最も開けた場所
- 【黄チーム】埠頭西側、積み重なるコンテナの上
- 【東京湾埠頭、激突の狼煙】
- クロスカラーウォーズ 第二話:因縁の再燃、東京湾の静戦(3)
- 【赤チーム】埠頭の東側、コンテナの影
- 【青チーム】巨大クレーンの頂上
- 【黒チーム】入り組んだ倉庫群の影
- クロスカラーウォーズ 第二話:因縁の再燃、東京湾の静戦(4)
- 【緑チーム】埠頭北側の入り組んだ倉庫群
- 【黄チーム】埠頭西側、積み重なるコンテナの上
- 【白チーム】高台の倉庫屋上
- クロスカラーウォーズ 第二話:因縁の再燃、東京湾の静戦(最終局面)
- 【黒チーム】巨大倉庫内部、最深部への通路
- 【白チーム】巨大倉庫内部、上階のキャットウォーク
クロスカラーウォーズ 第二話:因縁の再燃、東京湾の静戦(1)

東京湾埠頭の倉庫街。夜の闇に沈む巨大な倉庫群と、積み重なるコンテナの合間から、各色の狙撃手たちが静かに姿を現し、それぞれのポジションへと移動していく様子。月明かりが倉庫の屋根を照らし、緊張感が高まる。
場所: 東京湾埠頭の倉庫街。
時間: 深夜0時を過ぎた頃。
東京湾埠頭の夜は、潮の香りと錆びた金属の匂いが混じり合い、不穏な静けさに包まれていた。深夜0時を過ぎ、七色の狙撃手たちはそれぞれの獲物を求め、迷路のような倉庫街へと潜入していた。
【白チーム】高台の倉庫屋上

白石希は、高台の倉庫屋上から『シルバーランス』を構え、広範囲を『シルバーマーク』でスキャンしていた。莉々花は、緊張した面持ちで周囲を警戒している。
「莉々花、ターゲットは埠頭の東側、コンテナの影に潜む『赤』チーム。そして、埠頭の西側、巨大クレーン頂上に展開している『青』チームよ」希は冷静に指示を出す。「私たちの目標は、この二つの火種を消し、戦場を統制すること」
その時、希の『シルバーマーク』が、新たな熱源を捉えた。埠頭の北側、最も入り組んだ倉庫群の影。それは、黒崎夜音と影月闇音の『黒』チームの反応だった。
「黒も動き始めたわね…予想通りよ」希の瞳に、わずかな感情の揺らぎが見えた。
希は、照準をコンテナの影に潜む『赤』チームへと合わせた。
『純白の裁き、逃れられない』。その言葉が、彼女の心に響く。
【黒チーム】入り組んだ倉庫群の影
黒崎夜音と影月闇音は、入り組んだ倉庫群の影に身を潜めていた。夜音は『シャドウリーパー』を構え、周囲の物音に耳を澄ます。闇音は、自身の変身能力『ナイトベール』を低レベルで発動させ、周囲の光と影に溶け込んでいる。
「東京湾埠頭…あの組織の実験施設が、この近くにある可能性が高いわ」夜音が低い声で呟く。「白石希も、天海葵も、緋村茜も…奴らは必ずこの戦場に来る。そして、あの組織の狗として、私たちを排除しようとするだろう」
闇音は、夜音の背中に手を置き、静かに言った。「夜音。焦らないで。私たちの目的は、あの組織の真実を暴くこと。そして、私たちの故郷を奪った恨みを晴らすこと」
その時、夜音の通信機にノイズが走った。
「これは…妨害電波か?それとも…」
夜音の視線が、埠頭の北西方向、暗闇に紛れて移動する二つの影を捉えた。
「緑…緑川葉月と風葉芹歌。やつらも、あの組織の実験対象。だが、私たちの故郷を奪った憎しみを共有する者たち…」夜音の瞳に、複雑な感情が宿る。
夜音は、静かに『シャドウリーパー』の照準を『緑』チームへと向けた。
『闇夜に消える、死の使者』。彼らは、復讐の刃を研ぎ澄まし、東京湾埠頭の闇で、真実を隠蔽する者たちに迫ろうとしていた。
【赤チーム】埠頭の東側、コンテナの影
緋村茜と赤坂椿は、コンテナの影に身を潜めていた。茜は『クリムゾンブレイズ』を構え、全身から紅蓮の闘気を放っている。椿は、タブレット端末で周囲の情報を分析しながら、冷静に茜を抑えている。
「ちっ、あの白い奴らめ!どこから狙ってるか分からねぇ!」茜が苛立ちを露わにする。「それに、あの青い奴も、きっと高みの見物決め込んでやがるんだろ!今度こそ、ぶっ飛ばしてやる!」
「茜、落ち着きなさい。あなたの感情は、弾道を乱すだけよ」椿は、冷徹な声で茜を諌める。「私たちの目的は、この戦場で優位に立ち、ポイントを獲得すること。そして…私たちの『因縁』を清算すること」
椿の視線は、ディスプレイに映し出された、天海葵のプロフィール画像に釘付けになっていた。かつての親友、そして今は宿敵となった相手。彼女たちの因縁は、この「クロスカラーウォーズ」の根幹に関わるものだった。
その時、椿のタブレット端末が、埠頭の南側、最も開けた場所へと移動する二つの影を捉えた。それは、村崎菫と紫蝶魅音の『紫』チームだった。
「紫…厄介な幻影使いね。私たちを惑わそうとしているのかしら」椿が静かに呟いた。
「へっ、幻影だろうがなんだろうが、俺の銃が全部ぶっ飛ばしてやるよ!」茜は、獰猛な笑みを浮かべると、『クリムゾンブレイズ』の照準を『紫』チームへと合わせた。
『紅蓮の炎、すべてを貫く』。彼らの炎は、東京湾埠頭の夜で、何者を貫き、何を焼き尽くすのか。

クロスカラーウォーズ 第二話:因縁の再燃、東京湾の静戦(2)
場所: 東京湾埠頭の倉庫街。
時間: 深夜0時を過ぎた頃。
【青チーム】巨大クレーンの頂上
天海葵は、巨大クレーンの頂上から『アクアストライカー』を構え、東京湾埠頭全体を見下ろしていた。隣には、蒼井凛が静かに佇み、彼女の周囲には展開された『ドローンウイング』が、いつでも葵を守る準備を整えている。
「コンテナ群は、狙撃ポイントとしては複雑すぎる。しかし、高所からの視認性は確保できる。私たち『青』の真価が問われるわ」葵は冷徹な声で呟いた。彼女の脳裏には、埠頭の各所に潜む七色の狙撃手たちの情報が、瞬時に展開されていた。
「マスター。緋村茜(ヒムラ・アカネ)との遭遇確率は98.7パーセント。彼女は、埠頭東側のコンテナ群に潜伏中。白石希(シライシ・ヒカリ)は埠頭中央の高台倉庫屋上。黒崎夜音(クロサキ・ヨネ)は埠頭北側の入り組んだ倉庫群」凛が、機械的な声で報告する。「各チームの行動パターンを分析。優先ターゲットは、緋村茜。次に白石希」
葵は、凛の言葉に頷いた。「茜は、感情的な行動を取りやすい。そして、白石希は統制を乱す者として私たちを狙うだろう。この二つの火種を効率的に排除し、戦場を最適化する」
彼女の心には、かつての親友、茜との友情決裂の痛みが、静かに、しかし深く宿っていた。
その時、葵の『ブルースキャン』が、埠頭の南側、最も開けた場所へと移動する二つの影を捉えた。それは、村崎菫と紫蝶魅音の『紫』チームだった。
「紫…厄介な幻影使いね。私たちを惑わそうとしているのかしら」葵が静かに呟いた。
「マスター、紫チームの『ミラージュオーラ』は、視覚と聴覚に作用する幻影を生み出します。直接的な戦闘よりも、心理的な撹乱を狙うでしょう」凛が補足する。
葵は、静かに『アクアストライカー』の照準を埠頭東側のコンテナ群へと合わせた。
『静寂を裂く一閃』。彼らの一撃は、東京湾埠頭の夜で、何を切り裂き、何を明らかにするのか。
【緑チーム】埠頭北側の入り組んだ倉庫群
緑川葉月と風葉芹歌は、埠頭北側の入り組んだ倉庫群の影に身を潜めていた。葉月は『フォレストウィスパー』を構え、周囲の微細な環境変化に意識を集中させる。芹歌は、自身の変身能力『ウィンドソング』を低レベルで発動させ、風の囁きに耳を傾けていた。
「東京湾埠頭…自然が少ない環境では、私たちの『ナチュラルカモフラージュ』は限界がある。しかし、この複雑な地形は、奇襲戦術に適している」葉月が静かに呟いた。
「葉月…この埠頭のコンクリートの下で、たくさんの命が息苦しそうにしている。あの組織の実験のせいで、海も、空も、汚されている気がする…」芹歌は、悲しげな声で言った。
彼女の心には、故郷の森が焼かれた悲しみ、そして組織の実験によって変質した者たちの苦しみが深く刻まれていた。
「私たちは、『森の囁き、風の調べ、確実に仕留める』。自然の摂理を乱すあの組織の野望を、私たちは許さない。この戦いで、真実を暴き、あの組織の闇を白日の下に晒す」葉月の瞳には、静かな決意が宿っていた。
その時、葉月の『アースセンス』が、埠頭の北側、最も入り組んだ倉庫群の影に潜む、二つの明確な熱源を捉えた。それは、黒崎夜音と影月闇音の『黒』チームの反応だった。
「黒…彼らも、あの組織の被害者。しかし、復讐心に囚われすぎている。この戦場で、彼らを救い出す必要がある」葉月は静かに呟いた。
芹歌は、葉月の隣に立ち、彼女の背中に手を置いた。「私たちが、森の声を届けなければ。そして、あの組織の真実を、みんなに知らせなければ」
葉月は、静かに『フォレストウィスパー』の照準を『黒』チームへと向けた。
『森の囁き、風の調べ』は、東京湾埠頭の夜で、何者かを救い、何者かを裁くのか。
【紫チーム】埠頭の南側、最も開けた場所
村崎菫と紫蝶魅音は、埠頭の南側、最も開けた場所へと悠然と移動していた。菫は『ヴァイオレットファントム』を構え、魅惑的な笑みを浮かべている。魅音は、自身の変身能力『トリックマスター』を低レベルで発動させ、周囲に蝶や蜘蛛、猫の幻影をちらつかせている。
「埠頭の開けた場所は、幻影戦術には不利よ。しかし、敢えてここに立つことで、相手の心理を揺さぶる。これが、私たち『紫』のやり方よ」菫が、妖艶に笑った。
「菫。あの組織の実験で、私が得た力…毒や幻影は、みんなを惑わすためだけじゃない。真実を暴くためにも使えるの?」魅音が、甘えるように問いかけた。
菫は、魅音の頭を優しく撫でた。「ええ、そうよ。私たちは、『妖艶な軌跡、敵を惑わす』。この戦いは、ただの殺し合いじゃない。真実という名のゲームよ。特に、あの真面目な白石希(シライシ・ヒカリ)を、私たちは惑わしてあげましょうか」
彼女の心には、故郷が破壊された悲劇がある。しかし、菫はそれを力に変え、この戦いを楽しもうとしていた。
その時、菫の『サイキックセンサー』が、埠頭の中央、高台の倉庫屋上に潜む、二つの明確な反応を捉えた。それは、白石希と莉々花の『白』チームの反応だった。
「白石希…あの生真面目な白は、私たちの幻影にどこまで耐えられるかしら」菫の瞳が、月明かりの下で妖しく輝いた。
魅音は、菫の言葉に満足したように喉を鳴らした。
『妖艶な軌跡、敵を惑わす』。彼らの幻影は、東京湾埠頭の夜で、何者を欺き、何を暴き出すのか。
【黄チーム】埠頭西側、積み重なるコンテナの上
向日葵ひまわりと柚葵は、埠頭西側の積み重なるコンテナの上に陣取っていた。ひまわりは『サンバースト』を構え、陽気なオーラを放っている。柚葵は、警戒しつつも、姉の隣で鉤爪『ゴールデンタロン』を構えている。
「うわー、東京湾埠頭って、なんかすごくコンテナがいっぱいだね!まるで巨大な迷路みたい!」ひまわりは、元気いっぱいの笑顔で、周囲を見回す。「でも、大丈夫!こんな迷路だって、私たち黄色の『閃光』があれば、全部ぶっ飛ばせる!」
「ひまわり姉ちゃん、でも…なんだかみんな、すごく真剣な顔をしてるよ。白石さんたちも、黒い人たちも、みんなピリピリしてる…」柚葵は、少し心配そうに言った。
ひまわりは、柚葵の頭をポンと撫でた。「大丈夫だよ、柚葵!難しいことなんて、私たちがぶっ飛ばしてやればいいんだよ!私たちは、『閃光の如く、標的を捉える』!自由に、思いっきりやるだけ!」
彼女たちの心には、組織の陰謀や因縁といった重苦しい感情はなかった。ただ、この「クロスカラーウォーズ」を、自分たちらしく楽しむことだけを考えていた。
「白の統制を揺さぶる『自由』の象徴…か」ひまわりは、ふと、白石希の顔を思い出した。「あの真面目そうな白い子たちも、もっと自由に楽しめばいいのにね!」
その時、ひまわりの『サンセンサー』が、埠頭の西側、巨大クレーンの頂上に潜む、二つの明確な反応を捉えた。それは、天海葵と蒼井凛の『青』チームの反応だった。
「うわー!あの青い人たち、あんな高いところにいるんだね!すごい!」ひまわりは、目を輝かせた。
柚葵は、ひまわりの言葉に、少しだけ笑顔を見せた。
『閃光の如く、標的を捉える』。彼らの自由な閃光は、東京湾埠頭の夜で、何者を照らし、何者を突き動かすのか。
【東京湾埠頭、激突の狼煙】
静寂に包まれた埠頭に、最初の一撃が放たれたのは、白石希の『白』チームからだった。
希の『シルバーランス』から放たれた純白の光弾は、夜の闇を切り裂き、埠頭東側のコンテナの影に潜む、緋村茜と赤坂椿の『赤』チームの隠れ場所へと一直線に突き進んだ。
ドォンッ!
光弾はコンテナに直撃し、巨大な爆発音と共に火花を散らす。
「なっ…!?」茜が驚きの声を上げ、隠れていたコンテナから飛び出した。
「白石希…やはり、来たか!」椿が、素早く茜の防御に回る。
その爆音は、埠頭全体に響き渡り、静かに潜んでいた全ての狙撃手たちに、戦いの幕開けを告げた。
「ふん、白の女王様が、先陣を切るか。面白い!」緋村茜は、獰猛な笑みを浮かべると、『クリムゾンブレイズ』を白石希のいる高台の倉庫屋上へと向けた。
「莉々花!気を緩めないで!戦いの火蓋は、切って落とされたわ!」希の瞳には、冷たい決意が宿っていた。
東京湾埠頭の夜は、今、七色の閃光と銃弾が交錯する、激しい戦場へと変貌しようとしていた。
それぞれの因縁が、この闇夜に再燃する。
クロスカラーウォーズ 第二話:因縁の再燃、東京湾の静戦(3)

場所: 東京湾埠頭の倉庫街。
時間: 深夜0時を過ぎた頃、戦いの火蓋が切られて数分後。
白石希の一撃が緋村茜と赤坂椿の『赤』チームの隠れ場所を襲い、その爆音は、静かに潜んでいた全ての狙撃手たちに、戦いの幕開けを告げた。埠頭は、一瞬にして静寂を破られ、七色の銃弾が飛び交う激しい戦場へと変貌しようとしていた。
【赤チーム】埠頭の東側、コンテナの影
緋村茜は、白石希の奇襲に怒り狂っていた。
「てめぇ、白!俺の獲物を横取りした上に、俺の邪魔をするってのか!」
茜は、雄叫びを上げると、『クリムゾンブレイズ』を希のいる高台の倉庫屋上へと向け、連射を開始した。紅蓮の銃弾が、夜空を切り裂き、白い光の軌跡へと向かっていく。
「茜、冷静に!正面から突っ込んでも、白石希の精密射撃には勝てないわ!」赤坂椿は、茜の暴走を止めようとするが、彼女の闘志はすでに限界を超えていた。
椿は、自身の『スカーレットスティング』を構え、茜の援護に回る。彼女は、希の次の動きを予測し、その退路を塞ぐように精密な弾丸を放った。
その時、埠頭の西側、巨大クレーンの頂上から、一筋の青い閃光が放たれた。
ドォンッ!
それは、天海葵の『アクアストライカー』から放たれた、超精密な狙撃だった。青い光弾は、緋村茜の『クリムゾンブレイズ』の銃身を正確に狙い、わずかにかすめていく。
「ちっ…青のサイボーグめ!やはり、邪魔しやがったな!」茜は、葵の狙撃に舌打ちをした。彼女と葵との因縁は、この戦場で再び燃え上がろうとしていた。
【青チーム】巨大クレーンの頂上
天海葵は、クレーンの頂上から、戦場全体を冷静に見下ろしていた。緋村茜が白石希に怒りをぶつけ、互いに撃ち合っている。そして、葵は、その混乱の隙を狙い、茜を狙撃した。
「マスター、緋村茜は感情的に行動しています。白石希を優先ターゲットとしていますが、マスターへの敵意も高いです」蒼井凛が、機械的な声で報告する。
「分かっている。彼女の感情は、私たちの狙撃を容易にする。凛、白石希への援護射撃を継続しなさい。私たちは、戦場を最適化する」葵は、冷徹に指示を出した。
しかし、その時、葵の『ブルースキャン』が、埠頭の北側、最も入り組んだ倉庫群から、二つの黒い熱源が接近しているのを捉えた。黒崎夜音と影月闇音の『黒』チームだった。
「黒崎夜音…やつらも動いてきたわね」葵の瞳に、警戒の色が宿る。「凛、防御態勢を。黒は、私たちの能力を把握している可能性が高い」
その間にも、埠頭の南側、開けた場所から、妖艶な紫色の幻影が立ち上り始めていた。村崎菫と紫蝶魅音の『紫』チームが、幻影を操り、戦場を撹乱しようとしていた。
「この戦場は、混沌と化していく…」葵は、静かに呟いた。
【黒チーム】入り組んだ倉庫群の影
黒崎夜音と影月闇音は、入り組んだ倉庫群の影を縫うように移動していた。埠頭全体に響き渡る銃声と爆発音は、彼らにとってはむしろ好都合だった。闇に紛れ、敵の背後を取る。それが、彼ら『黒』の戦術だった。
「白石希と緋村茜、そして天海葵…互いに潰し合ってくれるなら好都合だ」夜音は、冷徹な表情で呟いた。「その隙に、私たちはあの組織の施設へと向かう」
闇音は、夜音の隣に寄り添い、周囲の気配を探っていた。「夜音、埠頭の南側から、強い幻影の気配を感じるわ。紫のチームね」
「村崎菫…あの幻影使いか。私たちを惑わせるつもりか、それとも…」夜音の瞳に、疑念の色が宿る。
その時、夜音の通信機に、再びノイズが走った。今度は、先ほどよりも強力な妨害電波だった。
「これは…組織の介入か?」夜音は顔を顰めた。「この通信妨害は、私たちだけではないはず。他のチームも、何らかの影響を受けているだろう」
夜音は、通信妨害の中、埠頭の東側、埠頭の南側のコンテナ群を抜けて、埠頭中心部の巨大な倉庫へと向かっている。それは、第一フェーズから彼らが追っていた、謎の組織の隠し施設がある場所だった。
「闇音、私たちはあの倉庫へ向かう。真実を掴むために…」
闇音は、夜音の言葉に静かに頷いた。
『闇夜に消える、死の使者』。彼らは、復讐の刃を研ぎ澄まし、東京湾埠頭の闇で、真実を隠蔽する者たちに迫ろうとしていた。
クロスカラーウォーズ 第二話:因縁の再燃、東京湾の静戦(4)
場所: 東京湾埠頭の倉庫街。
時間: 深夜0時を過ぎた頃、戦いの火蓋が切られて数分後。
白石希の一撃が緋村茜を襲い、その爆音を合図に東京湾埠頭は一瞬にして七色の銃弾が飛び交う激しい戦場へと変貌した。互いの因縁が再燃し、各チームはそれぞれの思惑を胸に、暗闇の中を駆け抜ける。
【緑チーム】埠頭北側の入り組んだ倉庫群

緑川葉月は、入り組んだ倉庫群の影に身を潜め、『フォレストウィスパー』を構えていた。風葉芹歌は、自身の能力『ウィンドソング』で周囲の微細な空気の振動を読み取り、戦場の情報収集に徹している。
「葉月、埠頭中央の巨大倉庫から、微弱だが不自然な電磁波の揺らぎを感じる。あれは…」芹歌が、顔をしかめて言った。
「組織の施設がある場所ね。黒崎夜音たちも、そこを目指しているはず」葉月は静かに呟いた。
その時、葉月の『アースセンス』が、接近する二つの熱源を捉えた。それは、村崎菫と紫蝶魅音の『紫』チームだった。
「紫…厄介な幻影使い。私たちを惑わそうとしているのか、それとも…」葉月の瞳に、警戒の色が宿る。
埠頭の南側から、菫が操る紫色の蝶の幻影が、緑チームのいる倉庫群へと舞い込んできた。蝶は、触れると幻覚を見せる魅音の『ポイズンパウダー』を振り撒きながら、周囲の視界を撹乱する。
「葉月、これは幻覚の粉塵!吸い込んじゃだめ!」芹歌が叫んだ。
葉月は、瞬時に『フォレストウィスパー』の銃口から、特殊な空気清浄弾を放った。弾は破裂し、周囲の粉塵を吸い取ると共に、新鮮な空気を放出して幻覚の効果を打ち消す。
しかし、その一瞬の隙を突いて、菫の幻影が葉月の背後に現れた。
「あら、流石は緑の森の守り人。幻影を見破るとはね」菫は、妖艶な笑みを浮かべ、葉月の後頭部に『ヴァイオレットファントム』の銃口を突きつけた。
「しかし、ここまでよ。森は、幻影には勝てないわ」
「…そうかしら?」葉月の瞳は、冷静さを失っていなかった。
その瞬間、芹歌の『ウィンドソング』が発動。葉月の周囲に、突如として強烈な突風が巻き起こる。
ゴオオオッ!
突風は、菫の幻影を吹き飛ばし、本物の菫のバランスを崩させた。
「くっ…!」菫は、体勢を立て直そうとするが、その隙に葉月が素早く振り向き、『フォレストウィスパー』を構え直した。
「私たちは、『森の囁き、風の調べ、確実に仕留める』。自然の摂理を乱すあの組織の野望を、私たちは許さない。そして、あなた方の幻影も、真実を隠すことはできない」
葉月の言葉は、静かでありながらも、強い意志に満ちていた。
『緑』と『紫』。互いの因縁は、この東京湾埠頭で、さらに深まろうとしていた。
【黄チーム】埠頭西側、積み重なるコンテナの上
向日葵ひまわりと柚葵は、埠頭西側の積み重なるコンテナの上に陣取っていた。戦場の激化と共に、ひまわりの表情も真剣さを帯びてきていた。柚葵は、姉の隣で鉤爪『ゴールデンタロン』を構え、警戒を強めている。
「うわー、みんな、すごく本気になってきたね!でも、私たちも負けてられないよ、柚葵!」ひまわりは、元気いっぱいの笑顔で言った。
「うん!ひまわり姉ちゃん!」柚葵は、姉の言葉に頷いた。
ひまわりの『サンセンサー』が、埠頭中央の巨大倉庫へと向かう、黒崎夜音と影月闇音の『黒』チームの熱源を捉えた。
「あ、黒い人たち、あの大きな倉庫に向かってるよ!なんか、すごく秘密がありそうな場所だね!」
ひまわりは、楽しげに『サンバースト』を構え、夜音たちの頭上へと照準を合わせた。
「よーし、柚葵!私たちも、あの秘密の倉庫へ行ってみよう!きっと、何か面白いことがあるよ!」
「え、でも、ひまわり姉ちゃん…」柚葵は、少し不安そうな顔をするが、ひまわりの勢いに押され、すぐに姉の言葉に従った。
ひまわりは、夜音と闇音のいる倉庫の屋上へと、超高速の閃光弾『サンフラッシュ』を放った。
そして、柚葵は『ゴールデンタロン』を展開し、まるで夜空を滑るように倉庫の壁を駆け上がっていく。
『閃光の如く、標的を捉える』。彼らの自由な閃光は、東京湾埠頭の夜で、何者を照らし、何者を突き動かすのか。
【白チーム】高台の倉庫屋上
白石希は、激化する戦場を見下ろしながら、冷静に状況を分析していた。莉々花は、希の隣で『ホワイトブレイク』を構え、周囲を警戒している。
「赤と青の衝突、緑と紫の交戦…そして、黒と黄の遭遇。戦場は、完全に混沌と化しているわ」希は静かに呟いた。「莉々花、この混乱を利用する。私たちは、埠頭中央の巨大倉庫へ向かう。そこが、今回の戦いの核心になるはずよ」
希の『シルバーマーク』は、埠頭中央の巨大倉庫から発せられる、微弱ながらも不自然な電磁波の揺らぎを捉えていた。それは、黒崎夜音たちも向かっている場所であり、謎の組織の施設があることを示唆していた。
「姉さん、あの倉庫に何かあるの?」莉々花が尋ねた。
「ええ。この『クロスカラーウォーズ』の裏に潜む、真実があるはずよ」希の瞳に、強い光が宿る。「私たち『白』の『純白の裁き』は、真実を隠蔽する者全てに下される」
希は、莉々花を伴い、高台の倉庫屋上から埠頭中央の巨大倉庫へと向かって移動を開始した。
東京湾埠頭の夜。
七色の銃弾と、それぞれの因縁が交錯する中、物語は、ついに謎の組織の核心へと迫ろうとしていた。
クロスカラーウォーズ 第二話:因縁の再燃、東京湾の静戦(最終局面)
場所: 東京湾埠頭の巨大倉庫内。
時間: 深夜0時を過ぎ、戦いが最高潮に達した頃。
東京湾埠頭の夜は、銃声と爆音、そして七色の能力が交錯する激戦の舞台となっていた。それぞれのチームが因縁と使命を胸に、埠頭中央の巨大倉庫へと集結していく。
【黒チーム】巨大倉庫内部、最深部への通路
黒崎夜音と影月闇音は、巨大倉庫の内部へと侵入していた。内部は薄暗く、錆びた金属の匂いが充満している。夜音の『シャドウリーパー』から放たれた消音弾が、通路の監視カメラを次々と破壊していく。闇音は、自身の『ナイトベール』で姿を隠し、夜音の背後を守っていた。
「夜音、この奥だ。電磁波の反応が強くなっているわ」闇音が低い声で言った。
「ああ。あの組織の施設があるのは、間違いない」夜音の瞳は、復讐の炎で燃え盛っていた。「真実を隠蔽する者どもに、闇の裁きを下す…」
その時、通路の奥から、無数の閃光が放たれた。向日葵ひまわりと柚葵の『黄』チームだった。
「わーい!見つけたよ、黒い人たち!やっぱり、ここに秘密があったんだね!」ひまわりが、元気いっぱいの声で叫んだ。
柚葵は、鉤爪『ゴールデンタロン』を展開し、夜音たちへと飛びかかる。
夜音は舌打ちをした。「ちっ、黄色か!邪魔をするな!」
夜音は、通路の狭さを利用し、『シャドウステップ』で柚葵の攻撃をかわしながら、ひまわりの『サンバースト』から放たれる閃光弾を回避する。闇音も『ナイトベール』を最大まで発動させ、ひまわりの視界から完全に姿を消した。
「あれー?どこ行っちゃったの?」ひまわりが困ったように首を傾げる。
「ひまわり姉ちゃん、気をつけて!黒い人たちは、すごく速いよ!」柚葵が警告する。
その時、闇音の隠密行動が功を奏した。闇音は、ひまわりの背後に回り込むと、無音で『シャドウクロー』を繰り出した。しかし、ひまわりの背後から、突如として眩い光が放たれた。
ピカッ!
それは、ひまわりの『サンバースト』に搭載された防御システム**『フレアガード』**だった。闇音の攻撃を察知し、自動で光を放って敵の目をくらませる。
「くっ…!」闇音は、眩い光に目を閉じ、攻撃を中断した。
【白チーム】巨大倉庫内部、上階のキャットウォーク
白石希と莉々花は、巨大倉庫の上階にあるキャットウォークを進んでいた。希は『シルバーランス』を構え、下階の状況を『シルバーマーク』で分析している。
「莉々花、下階で黒と黄が交戦している。そして、その奥から、強力な電磁波が発せられているわ」希は冷静に指示を出す。「やはり、この先に組織の施設がある。私たちは、まずあの交戦を鎮静化させ、核心へと向かう」
「了解!」莉々花は、希の指示に従い、『ホワイトブレイク』を構える。
その時、倉庫の入り口から、激しい銃声と爆発音が響き渡った。緋村茜と赤坂椿の『赤』チームが、天海葵と蒼井凛の『青』チームと、倉庫入り口付近で激しく交戦している。
「ちっ、あの青いサイボーグめ!逃がすか!」茜の怒声が響き渡る。
葵の『アクアストライカー』から放たれる精密な狙撃と、凛の『ドローンウイング』による防御は、茜の猛攻を巧みに捌いていた。
さらに、倉庫の南側から、妖艶な紫色の幻影が、倉庫全体に広がり始めていた。村崎菫と紫蝶魅音の『紫』チームが、幻影を操り、戦場を撹乱しようとしていたのだ。
「あらあら、随分と賑やかになってきたじゃない。この混沌が、真実への扉を開くわ」菫の妖しい声が、幻影と共に倉庫内に響き渡る。
希は、激化する戦場を見下ろしながら、表情を引き締めた。
「莉々花、私たちの目標は、この戦場で優位に立つことではない。真実を暴き、混乱を鎮静化させることよ」
希は、狙いを下階の黒崎夜音と向日葵ひまわり、そして倉庫入り口の緋村茜と天海葵へと定めた。
『純白の裁き、逃れられない』。その誓いを胸に、希は引き金を引いた。
『シルバージャッジメント』!
希の『シルバーランス』から放たれた純白の光弾は、まるで意思を持ったかのように、下階の夜音とひまわり、そして入り口の茜と葵の間に、警告を発するように着弾した。
ドォンッ!ドォンッ!
二度の爆発音は、それぞれの交戦を一時的に中断させ、全ての狙撃手の視線を、希のいるキャットウォークへと集めた。
「白石希…!」夜音が、憎しみを込めた声で呟く。
「あの白い奴め!また邪魔しやがって!」茜が怒鳴る。
「白石希…ここに来るか」葵は、冷静ながらも警戒の色を強めた。
その時、倉庫の最奥部から、新たな、しかし圧倒的な電磁波の反応が急激に強まり始めた。それに呼応するように、倉庫内の照明が点滅を繰り返し、不気味な警告音まで鳴り響き始める。
ゴオオオオオッ!
巨大な振動が倉庫全体を揺らし、天井の一部が崩れ落ちる。
そして、倉庫の最奥部にある、巨大な鉄扉が、ゆっくりと、しかし確実な音を立てて開き始めた。
「これは…!」希が息を呑んだ。
「姉さん、あの奥に何かいる…!」莉々花が、怯えた声で叫ぶ。
鉄扉の奥から、まばゆい光が溢れ出し、その光の中から、複数の人影が現れた。それは、全身を黒い特殊なスーツで覆った、謎の兵士たちだった。彼らの手には、この世のものとは思えないような、異形な形状の銃が握られている。
「組織の…特殊部隊!?」夜音が、驚愕の声を上げた。
「まさか、こんな形で現れるとは…」葵が、表情を引き締める。
謎の組織が、ついにその姿を現したのだ。
七色の狙撃手たちは、予期せぬ敵の出現に、一瞬にして膠着状態に陥る。
「私たち『クロスカラーウォーズ』の参加者たち。ご苦労だった」
開かれた鉄扉の奥から、冷徹な声が響き渡った。
その声の主は、黒いロングコートを纏い、顔には不気味な仮面をつけた、謎の人物だった。
「これより、最終実験を開始する」
東京湾埠頭の巨大倉庫内は、七色の狙撃手と、謎の組織の特殊部隊、そして謎の仮面の人物が対峙する、新たな戦いの舞台へと変貌した。
因縁と陰謀、そして真実が交錯する「クロスカラーウォーズ」は、ここから、さらに先の局面へと突入する。

第二話:完



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