🌌 小説:パンダ探検隊:秘境のロストバンブー|シーズン9:次元の捕食者編
最終章:マルチバースの崩壊
I. 監視者たちの警告と黒い亀裂
パンダ探検隊がネビュラ・プラントを再構築した**「パンダ・ゲートウェイ」**を拠点に、次元の狭間とマルチバース・アンカーの監視を始めて数ヶ月。隊員たちは新たな日常に慣れつつあったが、緊張感は高まっていた。
「キャプテン、銀河の外縁部、座標X-77で特異なエネルギー減衰を検出しました。まるで、空間そのものが食い尽くされているような……」メリーが緊迫した声で報告した。
メインパネルに映し出されたのは、宇宙の闇に広がる巨大な**「黒い亀裂」だった。それは、ロストバンブーのエネルギーを貪る次元の捕食者**の出現を示していた。
宇宙パンダのチーチャイは、古代パンダの記録を解析し、深刻な表情で説明した。
「キャプテン・パンダ、捕食者は生命体ではありません。それは、崩壊した無数のパラレルワールドの残骸、つまり**『非現実(ノン・リアリティ)』が具現化したものです。ロストバンブーが現実(リアリティ)を固定する**アンカーである限り、彼らはそれを破壊しようとします」
リン・メイは、亀裂の拡大スピードを計算し、戦慄した。「このペースだと、数ヶ月で銀河系全体が侵食されるわ。彼らの最終目的は、アンカーを破壊し、すべての現実を無に帰すことよ」
キャプテン・パンダは、胸元のロストバンブーの核を握りしめた。シーズン8で覚醒した彼の**「現実固定(リアリティ・フィックス)」**の力だけが、この「非現実」を打ち消す唯一の手段だった。
「フェリックス、エクスプレスに**『アンカー・シールド』**を搭載しろ。タケシ、ラビット、戦闘準備。俺たちが、最後の防波堤だ」
II. 銀河外縁部での激戦
パンダ・エクスプレスは、侵食が始まった銀河外縁部へと急行した。そこは、星々が既に捕食者によって無数の四角い穴が穿たれたかのように、空間が欠落し、不安定になっていた。
探検隊を待ち受けていたのは、組織や知性を持った敵ではなく、純粋な虚無の力だった。捕食者は、黒い霧、あるいは、明確な形を持たない多角形の影として出現し、接触した船体や物質を、まるで存在しなかったかのように消滅させた。
「タケシ!来るぞ!」ラビットが叫ぶ。
タケシのG-Suitは、捕食者の放つ**「次元の波動」**に触れた途端、装甲の一部が跡形もなく消え失せる。
「くそっ、攻撃が効かない!奴らは現実じゃないから、ターゲットに定まらない!」タケシは焦燥し、防御に徹する。
メリーはブリッジで分析する。「彼らは通常の物理法則の外にいるわ!普通の兵器は、彼らに一瞬の現実を与えることになり、すぐに吸収されてしまう!」
キャプテン・パンダは、ロストバンブーの光を放ちながら、単身、捕食者に向かって飛び出した。彼の光は、捕食者を一時的に遠ざけるが、根本的な解決にはならない。
「チーチャイ、教えてくれ!奴らをどうすれば倒せる!」
「キャプテン・パンダ!彼らは**『現実』が定義されるのを最も恐れます!あなたの『現実固定』の力で、彼らの存在を『虚偽(フォールス)』**だと確定させるのです!」
キャプテン・パンダは、全身にロストバンブーの力を集中させ、不安定な空間全体を包み込むように、青と緑の混ざった安定した光を放射した。
「俺が、この現実を真実とする!固定(フィックス)!」
キャプテン・パンダの力により、捕食者の**「非現実の体」**は激しく揺らぎ、輪郭を失い、最終的に、何も存在しなかったかのように虚無へと消滅した。
III. 捕食者の王:コズミック・ヴォイド
しかし、一体の捕食者が、キャプテン・パンダの現実固定に耐え、巨大な黒いパンダの影のような姿へと変貌した。その体は、無数の次元の残骸と、ねじ曲がった時間軸の光でできていた。
「よくぞ、この私を**『定義』**した。私は、コズミック・ヴォイド(宇宙の虚無)。ロストバンブーが安定させたすべての現実に存在する、必然的な崩壊の意志だ」
ヴォイドの声は、無数の絶叫と静寂が混ざったような、聴く者の精神を破壊する周波数だった。
「パンダ。お前たちが守るものは、偽りの秩序だ。すべての現実は、いずれ私に還る。お前のロストバンブーの核も、起源の門も、私が食らい尽くす!」
ヴォイドは、銀河系全体を覆うほどの巨大な次元の波動を放出し、パンダ・エクスプレスとパンダ・ゲートウェイ、そして次元の狭間全体を同時に攻撃し始めた。
リン・メイは叫ぶ。「次元の狭間に、侵食の亀裂が生まれてる!ヴォイドは、マルチバース・アンカーを直接狙っている!」
IV. アンカーの防御と究極の選択
キャプテン・パンダは、ヴォイドを追って、急いで次元の狭間に戻った。そこでは、起源の門とマルチバース・アンカーが、ヴォイドの次元波動によって激しく侵食され、無数のパラレルワールドの断片が剥がれ落ちていた。
「チーチャイ!アンカーをどうにかして守れないのか!」
古代の技術とパンダ・エクスプレスのシールドをもってしても、ヴォイドの非現実の力を完全に防ぐことはできない。
「キャプテン・パンダ!アンカーは、あなたの現実固定の力でしか守れません!しかし、これほどの規模の攻撃を固定するには、あなたのロストバンブーの核、あなたの存在すべてを、アンカーのコアに接続しなければならない!」
それは、キャプテン・パンダがロストバンブーの核と一体化し、時空を超えた存在になることを意味した。彼が人間(パンダ)としての自我を保てる保証はなかった。
「キャプテン、ダメよ!そんなことをしたら、あなたは、もう……!」リン・メイが涙を流して止める。
しかし、キャプテン・パンダは決意していた。
「俺は、マミーパンダの使命を継いだ。そして、俺は、この現実のすべてを選んだんだ。タケシ、ラビット、リン、フェリックス、メリー、チーチャイ……俺の仲間がいるこの世界を、虚無になんかさせない!」
キャプテン・パンダは、最後の力を振り絞り、自身のロストバンブーの核を、マルチバース・アンカーの中心コアへと接続させた。
青と緑の光が混ざり合った、超次元的なエネルギーが爆発した!
「現実固定!マルチバース・フィックス!」
光はヴォイドの**「非現実の体」を貫き、ヴォイドの存在そのものを、「存在しないもの」**として定義し直した。ヴォイドは、黒い悲鳴を上げながら、無数の次元の残骸へと分解され、完全に消滅した。
次元の狭間は、キャプテン・パンダの力によって安定し、マルチバースの崩壊は食い止められた。
V. エピローグ:時空を超えた守護者
数年後。
パンダ・ゲートウェイは、次元の狭間を守る**「マルチバース・ウォッチタワー」**として、銀河の平和を静かに見守っていた。探検隊の仲間たちは、それぞれの役割を全うしていた。
リン・メイとチーチャイはアンカー・コアの制御を、フェリックスはゲートウェイの技術開発を、タケシとラビットは銀河のパトロールを担当し、メリーは膨大な情報網の分析に当たっていた。
彼らの目の前には、キャプテン・パンダの姿はなかった。彼は、ロストバンブーの核と一体化し、マルチバースそのものの意識となったのだ。
しかし、彼らが会話する時、ふとした瞬間に、ブリッジの空気、あるいは彼らの心臓の鼓動が、一瞬だけ止まるのを感じる。それは、キャプテン・パンダが、時空を超えた守護者として、今も彼らと共にいる証拠だった。
タケシが、訓練用のG-Suitを調整しながら、静かに微笑む。「キャプテンは、どこにでもいるんだ。この風の中にも、俺たちの時間の流れの中にもな」
ラビットが、チーチャイが開発した新種のニンジンをかじりながら、空を見上げた。「ねぇ、キャプテン。新しい探検の計画を立てたんだけど、聞いてる?」
その瞬間、メインコンソールのディスプレイに、青と緑の光が走り、自動的に次の旅の座標が入力された。それは、探検隊の誰も知らなかった、**新しい次元(ニュー・ディメンション)**を示す座標だった。
リン・メイは、驚きと喜びの声を上げる。「キャプテンよ!彼は、まだ私たちに次の旅を求めているわ!」
「よし!」タケシは叫んだ。「全隊員に告ぐ!パンダ・エクスプレス、新たな次元へ向けて、発進準備!」
キャプテン・パンダの**「時間と次元の守護者」**としての旅は、姿を変えて、永遠に続いていく。
(完結)



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