- 🌌シーズン5:星々のロストバンブー編
- 旅立ち:最初の遺産
- I. プロローグ:最後の竹林
- II. 宇宙船「パンダ・エクスプレス」
- III. 地球からのワープ
- IV. エウロパの氷海
- V. ブラッド・スカウターの追撃
- VI. ロストバンブーの共鳴と覚醒
- VII. エピローグ:次の星へ
- 🌌シーズン6:バザール・タウの謀略
- 潜入:銀河の闇市場
- I. バザール・タウへの到着
- II. 闇市場への潜入と情報将校スニーク
- III. 宇宙パンダとの遭遇
- IV. 情報将校スニークの包囲網
- V. エピローグ:古代パンダの使命
- 🌌シーズン7:時を止める根源(オリジン)
- 最終決戦:ネビュラ・プラント
- I. ネビュラ・プラントへの潜入
- II. ドクター・サイラスの罠
- III. 時の楔の探索とブラッド・スカウターの再来
- IV. 起源の泉とグランド・コマンダー・ゼタ
- V. キャプテン・パンダの覚醒と最終決戦
- VI. エピローグ:パンダ探検隊、銀河の平和を守る
- 🌌シーズン8:次元の狭間の守護者(ガーディアン)
- 究極の起源:マルチバースの竹林
- I. 次元航海:ギャップへの突入
- II. 歪んだ現実とパラドックス・スカウター
- III. 究極のバンブー:起源の門
- IV. ガーディアンの試練とロストバンブーの真実
- V. アンカーの制御と次元の監視者
- VI. エピローグ:新たな脅威の出現
- 🌌 小説:パンダ探検隊:秘境のロストバンブー|シーズン9:次元の捕食者編
- 最終章:マルチバースの崩壊
- I. 監視者たちの警告と黒い亀裂
- II. 銀河外縁部での激戦
- III. 捕食者の王:コズミック・ヴォイド
- IV. アンカーの防御と究極の選択
- V. エピローグ:時空を超えた守護者
🌌シーズン5:星々のロストバンブー編

旅立ち:最初の遺産
I. プロローグ:最後の竹林
国際都市での最終決戦から半年。世界はロストバンブーの力の暴走から回復しつつあったが、パンダ探検隊は新たな戦いの準備を進めていた。秘密裏に建造された宇宙船「パンダ・エクスプレス」の発進を数日後に控え、キャプテン・パンダはひとり、隠された竹林の中にいた。
太陽の光を遮るほどに茂る濃い竹の匂いは、灼熱のエジプト、湿潤な南米のジャングル、そして極寒のアンデス山脈での記憶を呼び覚ます。そして、その全ての冒険の中心には、いつも古代の探求者、マミーパンダの影があった。
キャプテン・パンダは、マミーパンダが地球に残したとされる、古びた竹製のコンパスを取り出した。国際都市の戦いの後に発見された、ロストバンブーの核の破片がコンパスに近づくと、核は微かに青い光を放ち、コンパスに吸い込まれるように嵌合した。
「やっと、開いてくれたか」
キャプテン・パンダが静かに呟くと、コンパスから青い光のホログラムが空間に展開された。そこに映し出されたのは、ミイラのような包帯を巻きながらも、毅然とした姿勢を崩さないマミーパンダの姿だった。彼女は穏やかな微笑みを浮かべ、目に宿る探求心は変わらない。
「キャプテン・パンダ。あなたがこのメッセージを見ているということは、地球上のロストバンブーを巡る戦いに勝利し、私の叡智を継ぐ準備ができたということね」
マミーパンダの声は、静かな竹林に響き渡る。
「私たちが地球で見つけてきたロストバンブーの破片は、全て『種』に過ぎないわ。その根源、『起源(オリジン)』は、地球にはない。星々にあるのよ」
ホログラムの背後には、見慣れない星図が浮かび上がる。それは、マミーパンダが、古代パンダ文明の知識とロストバンブーのエネルギーを用いて描き出した、銀河の果てへの道標だった。
「キャプテン・パンダ。あなたはロストバンブーの力を制御できる、選ばれたパンダ。古代パンダの叡智を継ぐ者。これはあなたの運命よ。私は先に宇宙へ向かい、道筋をつけた。次は、あなたの番よ」
メッセージはそこで途切れ、星図だけがコンパスの光として残った。キャプテン・パンダは深く息を吸い込み、コンパスを強く握りしめた。
「マミーパンダ……分かった。俺が行く。俺が、ロストバンブーの真実を、そしてあなたの旅の行き着く先を見つける」
竹林を抜けた彼の瞳には、銀河の星々が映し出されていた。
II. 宇宙船「パンダ・エクスプレス」

地下ドックに佇む宇宙船「パンダ・エクスプレス」は、ロストバンブーの技術を応用した生体素材で覆われており、有機的で滑らかな外観を持つ。船内は探検隊が落ち着けるよう、あえて地球の竹林を模したデザインが施されていた。
ブリッジでは、科学者・リン・メイが最後のチェックリストを読み上げ、天才メカニックのフェリックス(猫)が、主動力炉の周りを忙しなく動き回っていた。
「フェリックス、ワープ・ドライブの最終シミュレーションは? ロジックフローに異常なノイズが検出されているわよ」リン・メイが厳格な声で問う。
フェリックスは、巨大なメインコンソールに肉球で小さなパズル型インターフェースをはめ込みながら、不機嫌そうに「ニャー」と鳴いた。
「ノイズじゃない。直感(インスピレーション)だ。リンの退屈な計算式には、この次元の壁を超えるための遊びが足りないんだ。この猫に任せとけ、完璧にチューンナップしてやる」
リン・メイはため息をついた。彼女はマミーパンダの残した設計図を論理的に再現したが、フェリックスはそれを直感で最適化してしまう。この猫がいなければワープは不可能だが、彼の「直感」は常にリンの科学者としてのプライドを刺激した。
その横では、行動隊長・タケシが、自分の重力操作スーツ(G-Suit)を点検していた。
「リン、フェリックス。キャプテンが戻るぞ。もうすぐ発進だ。ワープ中の振動対策はしっかり頼むぞ。俺は一度、アンデスで雪崩に巻き込まれてるからな。揺れには敏感なんだ」
「心配ないわ、タケシ。今回のワープは、次元の膜を優しく突き破る。雪崩より静かよ」リン・メイは自信を持って答えた。
その時、通信が入った。情報分析・外交担当のメリーと、機動的な情報屋・ラビットからだ。彼らは地球に残されたロストバンブーのネットワークを使い、最後の敵の動向を探っていた。
「キャプテン、メリーよ。私たちの追跡システムが、グランド・コマンダー・ゼタの動きを捉えたわ。奴は『星間連合(ステラ・ユニオン)』という組織を率いて、宇宙のロストバンブーを既に探査しているようよ。しかも、地球上のロストバンブーの核が活性化したことで、私たちの存在も察知した可能性が高い」メリーが緊張した声で報告した。
「チッ、出遅れたか」キャプテン・パンダはブリッジに現れ、コンパスをメインパネルにセットした。
「待ってキャプテン、もっと厄介な情報よ!」ラビットが割って入った。彼は小型偵察機を操縦し、地球の低軌道で最後の監視をしていた。
「偵察機からの映像だ。地球を離脱する一隻の古い宇宙船。あの紋章……間違いない。ブラッド・スカウターだ!国際都市での敗北後、奴は姿を消したはずだ!」
ブラッド・スカウター。過去の秘境で、キャプテン・パンダの前に何度も立ち塞がった、因縁の宿敵。彼はゼタの組織に雇われた傭兵だったが、キャプテン・パンダへの個人的な復讐心が、彼の最大の動機だった。
「ゼタの奴め、スカウターを使いやがったか。奴は追跡のプロだ。だが、待たせはしない」キャプテン・パンダは冷静に指示した。「リン、ワープ・ドライブ最終チェック。フェリックス、直感に頼らず、ロジック通りに。メリー、目標座標をコンパスの星図に合わせて。『パンダ・エクスプレス』、発進準備!」
III. 地球からのワープ
巨大な地下ドックのハッチが開き、パンダ・エクスプレスは静かに宇宙空間へ上昇した。後方にはブラッド・スカウターの旧型追跡船が既に追いつきつつあったが、パンダ・エクスプレスの生体装甲は、レーダーには単なる小惑星としてしか映らない。
「ワープ・シークエンス、開始。エネルギー充填率99パーセント!」リン・メイが叫んだ。
フェリックスはブリッジの片隅で、自分の毛を丁寧に手入れしながら、「心配すんな、キャプテン。この猫のチューンナップは宇宙一だ」と自信たっぷりに言った。
キャプテン・パンダは、マミーパンダのコンパスから示された座標、太陽系内の最初の目的地、木星の衛星エウロパへと照準を合わせた。マミーパンダのメッセージには、「最初に種が蒔かれた場所」という言葉があった。
「タケシ、メリー、ラビット。衝撃に備えろ!」
次の瞬間、パンダ・エクスプレスは青い光に包まれた。
「ワープ!」リン・メイの叫びが、空間に引き伸ばされる。
凄まじいG(重力)が船体を襲うが、ロストバンブー素材の船体はそれを吸収する。船内の景色は、空間そのものが液体のように歪み、虹色の光の奔流となった。
キャプテン・パンダは、激しい光と振動の中で、突然、異様な感覚に襲われた。それは、竹林の匂いでも、秘境の熱気でもない、膨大な情報の奔流だった。
――遠い昔。ミイラ姿の探求者。青い光。竹の子の形をした宇宙船。争いを避け、種を運ぶ使命。
古代パンダ文明の記憶、あるいはロストバンブーのネットワークに流れる情報が、キャプテン・パンダの脳内に流れ込んできたのだ。
「うっ……」
キャプテン・パンダは頭を押さえ、膝をついた。彼の体温が急激に上昇し、瞳の奥に一瞬、緑色の光が走った。
「キャプテン!大丈夫ですか!?」タケシが駆け寄る。
「問題……ない。大丈夫だ」キャプテン・パンダは、古代の記憶を振り払うように頭を振った。
ワープが収束すると、周囲の光が穏やかな白銀の世界へと変わった。
「ワープ成功!座標、エウロパ軌道に到達!」リン・メイが興奮した声で報告した。
「これが宇宙か……。でかいな」タケシが窓の外を見つめ、息を飲んだ。木星の巨大な渦巻きが、彼らの眼前に広がっていた。
IV. エウロパの氷海
エウロパ。表面は分厚い氷で覆われ、その下には広大な海が眠っているとされる。マミーパンダの星図が示すロストバンブーの痕跡は、その氷海深くにあった。
「リン、海底への降下は可能か?」キャプテン・パンダが問う。
「理論上は可能よ。ロストバンブー素材の外殻なら、水圧にも耐えられる。ただし、氷を掘削する必要がある」
フェリックスは、メインコンソールに肉球を叩きつけ、巨大なドリルを展開させた。
「ニャー!猫に任せろ。穴掘りなんて、お手のものだ」
パンダ・エクスプレスは、氷を融解させながら、ゆっくりとエウロパの海へと潜行した。周囲は漆黒の闇に包まれ、静寂だけが響く。
「タケシ、ラビット、潜水準備。先行して遺跡の安全を確認してくれ」
「了解!」タケシはG-Suitを装着し、ラビットは小型潜水艇「バンブー・スラスター」に乗り込んだ。
タケシとラビットは、船のエアロックから宇宙服と潜水艇で氷海へ出た。タケシは周囲の警戒を担当し、ラビットは得意の機動力を活かして海底を探査する。
「やれやれ、宇宙まで来て水の中かよ。ジャングルの泥の方がマシだぜ」タケシはG-Suitの内蔵マイクで愚痴をこぼした。
「ブツブツ言わないでよ、タケシ!見て!あの光!」ラビットが興奮した声で叫んだ。
海底の岩の隙間から、かすかな緑色の光が漏れていた。ロストバンブーの光だ。
二人がその光の源を辿ると、巨大な人工的な構造物が姿を現した。それは、竹の節のような形状をした巨大なドーム状の遺跡で、表面には見たこともないパンダの紋様が刻まれていた。古代パンダ文明の水中ピラミッドだ。
「マミーパンダの記録通りだ……。この地球から遠く離れた星に、パンダの遺跡があったなんて」タケシは驚愕した。
ラビットは素早く潜水艇を遺跡の入口に横付けし、小型ドリルで通路を確保した。
「入るよ、タケシ!何か珍しいニンジンが落ちてるといいな!」
「おい、ラビット!警戒しろ!何があっても不思議じゃないんだ!」
タケシの警告も聞かず、ラビットは先に遺跡の内部へと潜入していった。
遺跡内部は、海底とは思えないほど乾燥しており、巨大なホールになっていた。壁一面には、パンダ型の生命体が竹の子型の宇宙船に乗って星々を旅する様子や、ロストバンブーを使ってエネルギーを制御する壁画が描かれていた。
「すごい……これが、私たちパンダ種の、宇宙でのルーツなのか……」タケシは壁画に見入った。
ラビットは、遺跡の中心部で、まるで図書館のように並べられたクリスタルの板を発見した。それは古代のデータストレージだった。
「キャプテン、メリー!リン!見つけたよ!古代のデータバンクだ!これ、どうにかできないかな?」
「任せて。フェリックスの技術で、バンブー・エクスプレスのデータベースに接続するわ」リン・メイが答えた。
その時、タケシが背後に、異様なエンジン音を感じた。
V. ブラッド・スカウターの追撃
「待て!ラビット!何か来るぞ!」タケシが警戒の声を上げた瞬間、遺跡のドームに凄まじい爆発が起こった。
ドォン!
遺跡の入口が破られ、黒く煤けた小型戦闘機が侵入してきた。それはブラッド・スカウターの旧型追跡船だった。しかし、その船体には、見たこともない最新鋭の装甲が追加されていた。
「テメェら、パンダめ!」ブラッド・スカウターの憎悪に満ちた声が、通信を介して響く。「国際都市での屈辱、忘れるわけねぇだろ!マミーパンダの探求者共め!今度こそ、テメェら全員を宇宙の藻屑にしてやる!」
スカウターは、船首に装備されたプラズマキャノンを発射した。
「タケシ!避けろ!」ラビットは素早く潜水艇を操り、爆発を間一髪で避ける。
タケシはG-Suitのブースターで壁際へ飛び退き、プラズマ弾が直撃した壁画は溶岩のようにドロドロに溶けた。
「クソッ、なんてパワーだ!あの船、旧型じゃねぇ!星間連合の技術で改造されている!」タケシは歯ぎしりした。
メリーが艦内から分析を試みた。「キャプテン、スカウターの船体は、ゼタの組織が使用していた強化装甲で覆われているわ!あれは星間連合の技術よ!グランド・コマンダー・ゼタは、やはりスカウターを捨て駒として使っている!」
「さすがだな、ゼタ。マミーパンダの後継者を断つためなら、どんな手でも使うか」キャプテン・パンダはブリッジで冷静に呟いた。
「リン、フェリックス!エクスプレスの水中ドリルをシールド展開に切り替えろ!タケシたちを援護する!」
「しかしキャプテン、この船のシールドは、連続でプラズマ攻撃に耐えられないわ!」リン・メイが焦る。
フェリックスはブリッジでキーボードを猛烈な速さで叩いていた。
「ニャー!待て、リン!この猫に任せろ!ラビットが持ち帰った異星のジャンク品をシールドに組み込む!論理じゃねぇ!直感だ!」
フェリックスが、数時間前にラビットがどこからか拾ってきたガラクタをコンソールに接続すると、シールドの周波数が一変し、竹の葉の形をしたエネルギーバリアが遺跡内に展開された。
VI. ロストバンブーの共鳴と覚醒
ブラッド・スカウターの次の攻撃は、その竹の葉バリアに当たった瞬間、分解され、遺跡の天井に吸収された。
「な、何だと!? この猫のガラクタ技術が!」リン・メイが目を丸くする。
「チッ、テメェら、小賢しい真似を!」スカウターは苛立ち、追跡船の照準をタケシとラビットに直接合わせた。
「タケシ!危ない!」ラビットはタケシを突き飛ばし、潜水艇ごとスカウター船の真下へと逃げ込んだ。
スカウターはタケシが逃げ込んだ壁に向けて、最大出力のプラズマキャノンを発射した。タケシは避ける間もなく、遺跡の壁に押し付けられた。
ズドォォン!
遺跡の壁が崩壊し、海水が勢いよく流れ込んできた。タケシのG-Suitの警報が鳴り響く。
「タケシ!ダメだ、水圧が!」リン・メイが叫ぶ。
キャプテン・パンダは、タケシの危機と、水圧で崩壊し始める遺跡、そして古代パンダ文明の遺産が失われる危機を前に、激しい怒りと焦燥を感じた。
「間に合わない……!」
その瞬間、キャプテン・パンダの体内で何かが弾けた。彼の胸元のロストバンブーの核が、まるで太陽のように輝き始める。
「やめろ、スカウター!」
キャプテン・パンダの体から、緑色のエネルギー波が爆発的に放射された。それは、船体のシールドを貫通し、遺跡全体を包み込んだ。
エネルギー波は、スカウターの追跡船を一時的に機能停止させ、タケシを押し潰していた水圧と崩壊した遺跡の壁を、時間停止させたかのように静止させた。古代パンダの壁画に描かれていた、ロストバンブーで時空を操る絵図が、現実のものとなったのだ。
キャプテン・パンダの「覚醒」だった。
「これが……古代のパンダが遺したロストバンブーの真の力……!」
スカウターは船内で操縦不能に陥りながら、緑の光を浴びるキャプテン・パンダの姿を見て戦慄した。「マミーパンダの古代の力か……!テメェ……!」
キャプテン・パンダは、全身の力を使い果たし、崩壊を食い止めた隙に、タケシとラビットを救出し、バンブー・エクスプレスに帰還させた。そして、力の制御を失う前に、遺跡のクリスタルデータバンクを回収させた。
力尽きたキャプテン・パンダの緑の光が消えると、時間停止が解けたように、遺跡は勢いよく海水に飲まれ、崩壊した。スカウターの追跡船は、機能不全のまま木星の重力圏外へと弾き出された。
VII. エピローグ:次の星へ
パンダ・エクスプレスはエウロパ軌道から離脱し、静かに宇宙を航行していた。
キャプテン・パンダはブリッジの医療ポッドで眠っている。彼の覚醒は、あまりにも唐突で、強大な力だった。
「キャプテンのバイタルは安定していますが、全身のエネルギーが極度に枯渇しています。ロストバンブーの力が、キャプテンの体から強制的に引き出されたみたい」リン・メイが深刻な顔で診断結果を報告する。
「キャプテンの力が、遺跡のロストバンブーと共鳴したんだな。マミーパンダの古代の叡智が、キャプテンを選んだ証拠だ」メリーが静かに言った。
フェリックスは、回収されたクリスタルデータバンクを解析していた。データは膨大で、古代パンダ文明の歴史と、彼らがロストバンブーを使って築いた銀河のネットワークについての記録だった。
「ニャー。解析完了だ。キャプテンが救出したデータバンクに、次の目的地が記録されていたぜ」フェリックスが、メインパネルに新たな星図を映し出した。
それは、太陽系から遠く離れた、星間連合の勢力圏に近い異星の交易ステーション、「バザール・タウ」を示す座標だった。
「バザール・タウ……」メリーが地図を見た。「そこは、ロストバンブーの破片が闇で取引されている、危険な場所よ。マミーパンダの記録にも、危険区域として記されていたわ」
ラビットが、小型偵察機を整備しながら、不安そうな顔で言った。「ねぇ、あんな力を使っちゃったキャプテン、大丈夫かな?なんだか、俺たちの知ってるキャプテンと、違う感じがしたよ」
タケシは、キャプテン・パンダの寝顔を見つめ、静かに言った。「キャプテンは、俺たちが知っているキャプテンだ。だが、宇宙は、キャプテンを『キャプテン・パンダ』というただのリーダーから、『ロストバンブーの守護者』に変えようとしている。俺たちは、そのキャプテンを護るためにここにいるんだ」
リン・メイは、フェリックスが接続したコンソールに、次のワープ座標を打ち込んだ。
「準備完了よ。星間連合の支配域へ、潜入するわ」
緑の光を帯びた「パンダ・エクスプレス」は、再びワープ・ゲートを起動し、銀河の闇へと消えていった。次の目的地には、宇宙パンダとの出会い、そして星間連合との激しい情報戦が待ち受けている。
キャプテン・パンダの、壮大な宇宙探検が、今、始まったのだ。
(続く)
🌌シーズン6:バザール・タウの謀略

潜入:銀河の闇市場
I. バザール・タウへの到着
木星の衛星エウロパから、宇宙船「パンダ・エクスプレス」は長大なワープを成功させ、銀河系の辺境にある自由交易ステーション、バザール・タウへと到達した。ここは星間連合の支配域に隣接しながらも、どの勢力にも属さない無法の市場であり、異星種のパイロットや密輸業者が集う、銀河の裏玄関だった。
船は、フェリックスが施した特殊な竹の葉型シールドと、ロストバンブー素材のステルス機能により、巨大な宇宙デブリの中に巧妙に隠されていた。
ブリッジでは、医療ポッドから復帰したばかりのキャプテン・パンダが、リン・メイの厳しい視線を受けながら、メインパネルを覗き込んでいた。エウロパでの覚醒以来、彼の体からは時折、制御不能な緑のエネルギーが微かに漏れ出ていた。
「バザール・タウの電磁波ノイズは酷いわね。メリー、情報収集は可能?」リン・メイが尋ねる。
情報分析担当のメリーは、冷静に答えた。「ノイズは多いけれど、それは逆に好都合よ。星間連合の監視も、このカオスの中では鈍る。古代パンダのデータによると、ここにロストバンブーの『力の断片』が持ち込まれているはず」
キャプテン・パンダはコンパスを取り出した。コンパスはバザール・タウの深層、ブラックマーケットの中心部を指し示している。
「タケシとラビット。お前たちに潜入任務を任せる。タケシは護衛と交渉役。ラビット、お前は持ち前の『穴掘り』スキルで、情報将校・スニークの目を掻い潜れ」
「了解!任せてください、キャプテン!」タケシはG-Suitではなく、目立たないよう異星のコートを羽織っていた。
ラビットは偵察機「バンブー・スラスター」の調整を終え、得意げに片耳を立てた。「ニンジン泥棒の腕は宇宙でも錆びつかないよ。目と耳はメリー姉さんに繋がってる。スニークとかいう情報将校は、俺の鼻を出し抜けないね!」
メリーはラビットに小さな高性能受信機を渡した。「いい?ラビット。闇市場は危険な取引ばかりよ。特に、星間連合の情報将校スニークは、非常に狡猾で、彼のネットワークはバザール・タウ全域に張り巡らされている。無益なトラブルは避けて、私の指示を最優先に」
「はいはーい」ラビットは軽やかに頷いたが、その目は既に市場で売られているかもしれない珍しい異星の食材に向いていた。
II. 闇市場への潜入と情報将校スニーク
バザール・タウは、巨大なドーム状の人工空間であり、無数の異星人や種族が入り乱れ、怪しげな光と匂いが充満していた。
タケシとラビットは、雑踏の中を慎重に進む。タケシは屈強な体格で周囲の小競り合いを威圧し、ラビットはその機動力を活かして、狭い通路や通気口を縫って市場の奥へと向かっていた。
「メリー、情報将校スニークの居場所は?」タケシが通信で尋ねる。
「待って。彼のシグナルは頻繁に場所を変えている。彼が私たちを待ち伏せしている可能性が高いわ」メリーが答える。
その時、ラビットが、市場の一角にある薄暗いバーの裏口を指差した。
「タケシ、見て!あそこにいるのは、ゼタの組織の紋章をつけたタコの種族だよ。あいつらが、スニークの情報屋だ。匂いがする」
ラビットの直感は鋭かった。タコの種族の情報屋は、手に持ったデータパッドを覗き込みながら、神経質そうに周囲を警戒している。
「ラビット、近づくな!罠かもしれない!」メリーが警告したが、既に遅い。
ラビットは、バザール・タウ名物の巨大な宇宙芋の山に紛れ込み、一瞬で情報屋の背後に回り込んだ。情報屋が目を瞬かせたその瞬間、ラビットはポケットから小型の盗聴器(バンブー・バグ)を出し、情報屋のコートに貼り付けた。
――任務完了。 ラビットは軽やかなステップで雑踏の中へ消える。
メリーは驚きを隠せない。「ラビット、速すぎるわ!データリンク開始!」
メリーはすぐに情報屋の通信傍受を始めた。情報屋が、ある種の周波数で通信を開始する。
『スニーク様、ターゲットは確認できません。ですが、極めて不自然なノイズを検出しました。まるで猫の鳴き声のような……』
メリーはブリッジで顔をしかめた。「猫の鳴き声?フェリックス、あなた、何か試した?」
フェリックスは毛を梳かしながら言った。「ニャ?俺のチューンナップは完璧だ。ノイズなんて出すわけねぇだろ。あれはラビットの仕業だ」
ラビットは、潜入時に相手の注意を逸らすため、フェリックスが残した試作品の猫型ノイズジェネレーターを情報屋の近くに仕込んでいたのだ。
メリーはラビットの機転に感心しつつ、傍受した通信内容を解析した。
『問題ない。ノイズは無視しろ。ターゲットがまだ市場に潜伏しているなら、必ず『青い竹の子』のブローカーを探すはずだ。お前は監視を続けろ。私は、ブローカーを確保して奴らを誘い出す』通信の主は、情報将校スニーク。四つ腕を持つ、爬虫類系の種族だった。
「キャプテン、やはりスニークは、ロストバンブーの断片を囮にするつもりよ。ブローカーを先に確保しないと!」メリーが報告する。
III. 宇宙パンダとの遭遇
タケシとラビットは、青い竹の子のブローカーを探し、市場の最深部、異星の骨董品が並ぶエリアへ辿り着いた。そこは、ロストバンブーのエネルギーを偽装するための強力な干渉フィールドが張られていた。
「この先だ。ロストバンブーの反応が強い。タケシ、気をつけろ」ラビットが耳を動かしながら囁いた。
二人が辿り着いたブースには、無数の怪しい骨董品が並べられていたが、肝心のブローカーの姿は見えない。
その時、ブースの奥から、彼らを呼ぶ声がした。
「そこのあなたたち……まさか、地球(テラ)のパンダかね?」
二人が振り向くと、そこに立っていたのは、見慣れない姿のパンダ型生命体だった。そのパンダは、地球のパンダよりも毛並みが青みがかっており、額には小さなクリスタルが埋め込まれていた。
「お前は……誰だ?」タケシが警戒して構える。
「私はチーチャイ。このバザール・タウで、古代パンダ文明の遺産を細々と守っている者だ。あなたたちが探しているロストバンブーの断片、そして……マミーパンダの旅の真実を知っている」
チーチャイは、地球外で初めて遭遇した、パンダの同胞だった。
「マミーパンダのことを知っているのか?」キャプテン・パンダが通信で割って入る。
チーチャイは驚いた表情で、キャプテン・パンダの存在を感じ取った。「その力……やはり、あなたは起源の血筋。マミーパンダは、私たちが遠い昔に地球へ送り込んだ、ロストバンブーの種を回収するための『導き手』でした。彼女はロストバンブーの力で、私たち宇宙パンダの技術を学び、地球の文明を守っていたのです」
チーチャイは、ブースの床下から小さな青い竹の子の形をしたクリスタルを取り出した。
「これが、あなたが探している『力の断片』。しかし、これは罠です。星間連合の情報将校スニークが、これを囮にあなた方を誘い出そうとしています」
IV. 情報将校スニークの包囲網
チーチャイが警告を発した直後、タケシの背後に、四つ腕の爬虫類人、スニークが静かに現れた。
「さすが、古代の血筋(パンダ)。ノイズの裏の真実に辿り着くとはな」スニークは冷笑する。「チーチャイ、貴様、我々を裏切ったな。この断片は、お前の命と引き換えに回収させてもらう」
スニークの手には、小型ながら高出力のエネルギー・ネットガンが握られていた。
「チッ、囲まれたか!」タケシはG-Suitを起動させ、戦闘態勢に入る。
その時、ラビットは、スニークの背後にある骨董品の山に目をやった。彼のお目当ての異星の珍しいニンジンが、その山の最上段に置かれていたのだ。
「ニンジン!」ラビットは目を輝かせ、タケシの制止も聞かず、俊敏な動きで骨董品の山を駆け上がり始めた。
「ラビット!何をしている!」タケシが怒鳴る。
スニークもまた、ラビットの予測不能な行動に一瞬、戸惑った。
「そのウサギめ、何を狙っている!?」
ラビットは、ニンジンを掴むと同時に、その下の骨董品を蹴り落とした。その中には、高密度な宇宙爆弾の偽装品が混ざっていた。
ドガラガラ! 爆弾の偽装品がスニークの足元で爆発する。
それは本物の爆発ではなかったが、その閃光と爆音が、市場全体にパニックを引き起こした。異星人たちは我先にと逃げ出し、市場は大混乱に陥った。
「くそっ、このノイズめ!」スニークは視界を奪われ、体勢を崩した。
「今だ、タケシ!チーチャイを連れて行け!」ラビットはニンジンを口にくわえながら、チーチャイとタケシを小型潜水艇バンブー・スラスターの隠し場所へと誘導した。
スニークはすぐに追跡を再開したが、メリーがラビットの盗聴器から得た情報に基づき、市場のセキュリティシステムにフェリックスのチューンナップを施したウイルスを流し込んでいた。
『ニャー!これで通路が閉鎖されるぜ!ざまぁみろ!』フェリックスがブリッジで高笑いする。
市場の一部のシャッターが閉じられ、スニークの追跡を妨害した。
V. エピローグ:古代パンダの使命
タケシ、ラビット、そして宇宙パンダのチーチャイは、無事にパンダ・エクスプレスに帰還した。
チーチャイは、ブリッジの医療ポッドで休むキャプテン・パンダに、青い竹の子の断片をそっと手渡した。断片はキャプテン・パンダの胸元の核と共鳴し、緑色の光を放つ。
「キャプテン・パンダ。あなたは、私たちのロストバンブーの真の継承者です。マミーパンダは、私たちが星間連合の追跡から逃れるために、地球を最後の隠れ蓑として選び、あなたを育てたのです」
キャプテン・パンダは静かに目を開いた。「そうか……俺は、マミーパンダの使命を継いでいたのか」
チーチャイはさらに、驚くべき情報をもたらした。
「星間連合の首席科学者ドクター・サイラスは、ロストバンブーの起源を解析し、その力を兵器化しようとしています。彼の最終研究施設は、星間連合の最深部にある『ネビュラ・プラント』と呼ばれる惑星にあります。私たちがこれから向かうバザール・タウの先、そこが次の目的地です」
リン・メイは、回収したクリスタルデータバンクと、チーチャイの情報を照合した。
「チーチャイの言う通りよ。ネビュラ・プラント。そこがロストバンブーの起源に最も近い場所だわ。ゼタの真の目的は、ロストバンブーを使い、銀河の時間を停止させることよ」
タケシは、再びG-Suitを装着し、覚悟を決めた顔で言った。「待ってろ、ゼタ。そしてドクター・サイラス。今度は正面から叩き潰してやる」
ラビットは、手に入れた珍しいニンジンをかじりながら、ブリッジの窓の外を見つめた。「次の星も、きっと面白い情報が埋まってるぞ!」
キャプテン・パンダは、立ち上がり、ブリッジの中心に立った。彼の瞳には、以前のような迷いはなかった。
「リン、次のワープ座標をセットしろ。目標、ネビュラ・プラント。ロストバンブーの真実を、今度こそこの手で掴む」
「パンダ・エクスプレス、ワープ・シークエンス開始!」
緑の光を帯びた宇宙船は、星間連合の支配域深部、ネビュラ・プラントへと向けて、再び銀河の闇に消えていった。
(続く)
🌌シーズン7:時を止める根源(オリジン)
最終決戦:ネビュラ・プラント

I. ネビュラ・プラントへの潜入
宇宙パンダのチーチャイを新たな仲間として迎えたパンダ探検隊は、星間連合の最深部に位置する巨大な研究惑星「ネビュラ・プラント」へとワープした。惑星全体が、ロストバンブーのエネルギー研究施設となっており、分厚い星雲(ネビュラ)の中に隠されているため、探知は極めて困難だった。
宇宙船「パンダ・エクスプレス」は、チーチャイが知る古代パンダ文明の秘密の航路、「竹の子の抜け道(タケノコ・ワームホール)」を使い、厳重な警備網を回避してプラントの低軌道に到達した。
ブリッジでは、チーチャイが神妙な面持ちでキャプテン・パンダに警告していた。
「キャプテン・パンダ、ネビュラ・プラントの中心には、『起源の泉(オリジン・スプリング)』と呼ばれる、ロストバンブーの力の根源があります。ドクター・サイラスは、そこで完成させたクロノ・バンブー・リアクターを使って、銀河全域の時間を停止させようとしています」
キャプテン・パンダは、胸元の核から放たれる緑の光が強くなるのを感じた。エウロパでの覚醒以来、彼の力は増大していたが、同時に制御が難しくなっていた。
「チーチャイ、そのリアクターを止めるにはどうすればいい?」
「リアクターを制御しているのは、古代パンダが残した『時の楔(ときのくさび)』です。それは、ロストバンブーの力を制御し、暴走を防ぐための安全装置でした。サイラスはそれを破壊しようとしています」
リン・メイが分析した。「時の楔の正確な位置情報は、古代のデータバンクにも断片的にしか残されていないわ。広大なプラント内で、手探りで探すしかない」
「なら、手分けするしかないな」キャプテン・パンダは決意を固めた。「タケシとラビットは、チーチャイの案内で楔を探せ。リンとフェリックスは、エクスプレスで待機し、リアクターの周波数に干渉する準備を。俺は直接、ドクター・サイラスを止める」
II. ドクター・サイラスの罠
キャプテン・パンダはタケシを伴い、ロストバンブーの技術で強化されたG-Suitを装着して、施設内部に潜入した。内部は、まるで巨大な竹林のように張り巡らされたパイプと、緑色のエネルギーが流れる通路で構成されていた。
二人が中央コアへ向かう途上、広大なラボに辿り着いた。そこでは、首席科学者ドクター・サイラスが、無数の異星人研究員を指揮し、巨大なクリスタル装置を調整していた。サイラスは痩身で、頭には常に計算式がホログラムで表示されている、冷徹なインテリジェンス種族だった。
「おやおや、地球(テラ)のパンダ種が。マミーパンダの探求者の血筋ですか」サイラスは振り返りもせず、キャプテン・パンダに話しかけた。
「ドクター・サイラス。時間の停止は止めろ!それは銀河全体を崩壊させるぞ!」キャプテン・パンダは怒りを露わにした。
サイラスはホログラムの計算式を調整しながら、冷淡に答えた。「崩壊?いいえ、これは完全な秩序です。パンダ種は、ロストバンブーの力を制御するために生まれてきた、いわば古代の『生物兵器』。その力をもって、無秩序な銀河の時間を統一し、我々星間連合が永遠に支配する。これがグランド・コマンダー・ゼタの崇高な目的です」
サイラスはボタンを押した。すると、ラボの床から無数のクローン・スカウターが出現した。それは、シーズン5で戦ったブラッド・スカウターのデータに基づき、ロストバンブー技術で強化された量産型戦闘ドローンだった。
「遊んでいる暇はないぞ、タケシ!」キャプテン・パンダは覚醒した緑の光を放ち、クローン・スカウター群に向かって突進した。タケシも重力操作スーツの力を最大限に使い、パンダ型の防御バリアを張りながら応戦する。
III. 時の楔の探索とブラッド・スカウターの再来
一方、ラビットとチーチャイは、施設の通気口とメンテナンスシャフトを通り抜け、「時の楔」を探していた。チーチャイは、古代パンダの知識を使って、プラントの構造を理解していた。
「チーチャイ、楔はどこにあるんだ?もうすぐキャプテンがヤバくなる!」ラビットは焦っていた。
「落ち着きなさい、ラビット。楔は、ロストバンブーのエネルギーの流れが交差する、最も時間の歪みが激しい場所にあるはず」チーチャイは、額のクリスタルを光らせ、プラントのエネルギー流を読み取った。
彼らが細いパイプシャフトを抜けた時、広大な天井に竹の葉型の紋様が描かれた円形広場に辿り着いた。広場の中心には、古びた竹製の台座があり、そこに三つの竹の子型のクリスタルが埋め込まれていた。
「あれだ!あれが『時の楔』だ!」チーチャイが叫んだ。
ラビットが台座に飛び移ろうとした瞬間、天井のハッチが開き、一隻の旧型追跡船が降下してきた。船首には、憎悪に満ちたブラッド・スカウターが立っている。
「チッ、またテメェらか。しつこい奴め!」ラビットが舌打ちする。
「私を忘れるな、ウサギ!クローンではない、本物の私だ!ゼタ様から、お前たちの最後の護衛を任された!」ブラッド・スカウターは、以前よりもさらに強化された装甲と、両手に高出力のプラズマ・カタナを構えていた。
「チーチャイ、早く楔を起動しろ!俺が時間を稼ぐ!」タケシがラボから通信で叫ぶ。
チーチャイは躊躇した。楔を起動すれば、リアクターの制御が一時的に不安定になるが、プラント全体にも影響が出る。
「ラビット、お願い!楔を抜いて!」チーチャイは決断し、ラビットに指示した。
ラビットは、スカウターのプラズマ・カタナの攻撃を紙一重でかわしながら、台座のクリスタルを一つずつ引き抜いていった。クリスタルが抜けるたび、プラント全体に激しい振動が走った。
IV. 起源の泉とグランド・コマンダー・ゼタ
ラボでは、キャプテン・パンダがクローン・スカウター群を圧倒していたが、サイラスの罠により、彼の覚醒した力が過剰に抽出され始めていた。
「どうした、パンダ!その力で私を止められるか!?」サイラスは勝ち誇ったように笑う。「貴様の力は、このリアクターの最高の燃料だ!時間が止まる瞬間を、貴様は見ることになる!」
その時、プラントの最深部にある壁が開き、ロストバンブーの起源とされる、巨大な植物型のコア「起源の泉」が姿を現した。それは、巨大な竹の根が複雑に絡み合い、中心から強烈な緑色の光を放っている、荘厳な空間だった。
そして、そのコアの最前部に、グランド・コマンダー・ゼタが、静かに立っていた。
ゼタは、キャプテン・パンダに背を向けたまま、静かに語りかける。「パンダ。お前は、時を制御する力を持った完成形だ。だが、その力を暴走させ、時を止めるのは、私だ」
「ゼタ!」キャプテン・パンダは、全身の力を振り絞り、ゼタに向かって飛びかかった。
ゼタは振り返りもせず、指をパチンと鳴らした。
「時よ、止まれ(クロノ・ストップ)!」
起源の泉から、青い光と緑の光が混ざり合った、圧倒的なエネルギー波が放射された。
ラボ、そしてプラント全体、さらには遠くの星間連合の艦隊に至るまで、時間がゆっくりと凍結し始めた。異星人研究員たちは、驚愕の表情のまま、動きを止める。タケシとクローン・スカウターの戦闘も、スローモーションのように停止した。
V. キャプテン・パンダの覚醒と最終決戦
キャプテン・パンダだけは、時間の停止から逃れた。彼自身の体内に宿るロストバンブーの力が、ゼタのクロノ・ストップと相殺し合ったのだ。しかし、彼の体の動きも極度に鈍くなっていた。
「ぐっ……!これが、ロストバンブーの真の力……!」
ゼタは微笑んだ。「そうだ、パンダ。お前は、古代パンダ文明が、自らの文明を守るために創造した究極のアンチ・ウェポン。だが、その力も、私には敵わない」
ゼタは、自らもロストバンブーのエネルギーを吸収し、時間を操作できる能力を持っていた。
キャプテン・パンダは、全身を震わせ、覚醒した緑の光をさらに強めた。彼は、止まった空間の中で、ゼタだけを目標に、必死に動き続けた。
その時、通信が入った。
『キャプテン!ラビットが楔を抜いたわ!リアクターの制御が不安定になる!今よ!』リン・メイが、時間停止の影響を受けながらも、ギリギリの声で指示を出した。
チーチャイの声も聞こえた。『キャプテン・パンダ!時の流れを操作するのです!「反転(リバース)」を!』
キャプテン・パンダは、ゼタの動きが完全に停止する前に、彼に辿り着かなければならない。彼は、自身のロストバンブーの核に意識を集中させた。
「俺は、マミーパンダの使命を継ぐ者だ!お前なんかに、銀河を終わらせる権利はない!」
キャプテン・パンダの体から放出された緑の光は、青い光に打ち勝ち、ゼタのクロノ・ストップのエネルギーを逆流させ始めた。
時間逆行(タイム・リバース)!
ゼタの体から、停止させたはずの時間が急速に戻り始める。
「な、何だと!? 時を逆転させるだと!?」ゼタは初めて動揺した。
キャプテン・パンダは、時間逆行の勢いを利用し、ゼタに向かって渾身の一撃を放った。それは、竹の子の形をした強烈なエネルギー波だった。
ドォォン!
エネルギー波はゼタを直撃し、彼の体からロストバンブーのエネルギーを抜き去った。ゼタは悲鳴を上げ、起源の泉のコアへと吹き飛ばされた。
同時に、時間が正常に戻った。
サイラスのラボでは、クローン・スカウターたちが機能停止し、タケシは息を切らして立ち尽くしていた。
「勝った……のか?」タケシは信じられない思いで呟いた。
「勝利よ、タケシ!」リン・メイがブリッジから叫んだ。「リアクターの機能停止を確認!クロノ・ストップは無効化されたわ!」
起源の泉のコアに吹き飛ばされたゼタは、エネルギーを失い、完全に無力化されていた。
VI. エピローグ:パンダ探検隊、銀河の平和を守る
パンダ探検隊は、ドクター・サイラスとグランド・コマンダー・ゼタを拘束し、ネビュラ・プラントの全機能を停止させた。チーチャイは、時の楔を再び台座に戻し、ロストバンブーの力の暴走を防ぐことに成功した。
「キャプテン、あなたは、本当に時の支配者ね」リン・メイは驚きと尊敬の眼差しでキャプテン・パンダを見つめた。
「まだだ。完全に制御できたわけじゃない」キャプテン・パンダは疲弊した顔で答えた。「俺の力は、まだ暴走の危険を孕んでいる。チーチャイ、この起源の泉のコアはどうすればいい?」
チーチャイは、静かに答えた。「このコアは、古代パンダの叡智そのものです。これを破壊することはできません。ですが、私の持つ知識と、あなたの力があれば、このコアを銀河の監視者として機能させることができます」
パンダ探検隊は、ネビュラ・プラントを、古代パンダ文明の叡智を守るための新たな拠点、「パンダ・ゲートウェイ」として再構築することを決定した。
グランド・コマンダー・ゼタとドクター・サイラスは、星間連合に引き渡されたが、彼らの企みを知った他の星間勢力からの圧力により、星間連合の支配力は大きく低下した。銀河に再び、平和と秩序が戻りつつあった。
数ヶ月後。
パンダ・ゲートウェイのブリッジ。キャプテン・パンダは、穏やかな表情で銀河を見つめていた。彼の胸元のロストバンブーの核は、もはや制御不能な緑の光ではなく、穏やかな竹の色を帯びていた。
タケシは、新しい重力スーツを調整し、ラビットは、チーチャイと異星のニンジンの栽培について熱心に語り合っている。リン・メイとフェリックスは、古代パンダの技術を応用した、新たなワープ・ドライブの研究に没頭していた。
「キャプテン、次の目的地は?」メリーが尋ねる。
キャプテン・パンダは、遠い銀河の果てにある、新たな星図を指差した。
「マミーパンダが残した記録には、まだ、もう一つのロストバンブーの種があるらしい。それは、次元の狭間(ディメンション・ギャップ)にあるという」
キャプテン・パンダは、静かに笑った。「俺たちの探検は、まだ終わらない。古代パンダの使命は、銀河の平和を守ることだ。よし、全隊員に告ぐ。パンダ・エクスプレス、次の竹林へ向けて、発進準備!」
パンダ探検隊の、時空を超えた旅は、さらに続いていく。
(完)
🌌シーズン8:次元の狭間の守護者(ガーディアン)
究極の起源:マルチバースの竹林

I. 次元航海:ギャップへの突入
ネビュラ・プラントを「パンダ・ゲートウェイ」として再構築した後、キャプテン・パンダ率いる探検隊は、マミーパンダの残した最後の座標、「次元の狭間(ディメンション・ギャップ)」へと向かっていた。これは、通常のワープ・ドライブでは到達不可能な、異なる宇宙や現実の間にある抽象的な空間だった。
「パンダ・エクスプレス」のブリッジは、リン・メイとフェリックスがチーチャイの古代パンダの知識を応用して開発した*「ディメンション・シフト・ドライブ」の調整で緊張に包まれていた。
「キャプテン、ディメンション・シフト、最終チェック完了よ。ここは物理法則が安定しない場所。キャプテンの時の支配者としての力が、航行の鍵になるわ」リン・メイが警告する。
キャプテン・パンダは、覚醒したばかりの自分の力を制御するため、胸元のロストバンブーの核に意識を集中させる。彼の力は、船が次元の歪みに巻き込まれるたびに、船体の時間流を安定化させるために使われた。
「発進!」
パンダ・エクスプレスは、銀河の果てにある巨大な時空の亀裂へと突入した。船内の景色は激しく歪み、船窓の外には、過去・現在・未来、そして異なる現実の断片が、万華鏡のように流れ去っていった。
II. 歪んだ現実とパラドックス・スカウター
次元の狭間に突入したパンダ探検隊を待っていたのは、静寂ではなく、歪んだ現実だった。タケシは突然、自分が国際都市での最終決戦にいるにもかかわらず、隣にいるのがラビットではなく、敵のブラッド・スカウターであるという幻覚に襲われた。
「くそっ、何だこの感覚は!?」タケシはG-Suitを起動させ、周囲を警戒する。
「落ち着いて、タケシ!ここは現実が不安定な場所よ!精神的に強いられてるのよ!」メリーが必死に通信を送る。
その時、船体レーダーに異様な反応が現れた。それは、ブラッド・スカウターの追跡船に酷似していたが、船体の全てが時間的に逆行しているように見えた。
チーチャイが顔を青くして叫んだ。「あれは……パラドックス・スカウター!次元の狭間で時間と空間の歪みが具現化した、スカウターの憎悪の残骸です!奴らは、時間と空間のパラドックスを利用して攻撃してくる!」
パラドックス・スカウターは、キャプテン・パンダたちの過去の行動を予測し、その結果を改変しようとする攻撃を仕掛けてきた。
「キャプテン!私の過去のミスを指摘してくる!どうしたらいい!」フェリックスがパニックになる。
「過去に囚われるな!」キャプテン・パンダは叫び、ロストバンブーの力を解放した。「俺が時間を制御する!固定(フィックス)!」
キャプテン・パンダの力により、船内の時間流が安定し、隊員たちの精神的な混乱が収まった。
III. 究極のバンブー:起源の門
パラドックス・スカウターの追撃を振り切ったパンダ・エクスプレスは、次元の狭間の中心に浮かぶ、巨大な「起源の門(オリジン・ゲート)」に辿り着いた。
それは、竹の子の形をした遺跡でも、竹林でもなかった。それは、宇宙全体を覆うほど巨大な、単一のロストバンブーの根だった。
この根は、無数の次元のエネルギーを吸収し、その中心には、マミーパンダが最後に探していた「種」が青白く輝いていた。その種の光は、キャプテン・パンダの胸元の核と同じ波動を持っていた。
「あれが、ロストバンブーの真の根源……マルチバース・アンカーよ」リン・メイが息を呑んだ。
その時、起源の門から、威厳に満ちたホログラムが現れた。それは、古代パンダ文明の長老でも、マミーパンダでもない、竹の葉型のローブを纏った、巨大なパンダの姿だった。
「ようこそ、探求者の血筋よ。私は、オリジン・ガーディアン。この次元の狭間と、マルチバース・アンカーを守る者」
ガーディアンは静かに語りかける。「お前たちが地球から旅を始めて以来、私はすべてを見てきた。お前たちの祖先、古代パンダ文明は、ロストバンブーを使って、異なる現実の崩壊を防ぐためにこのアンカーを創造した。ロストバンブーの種は、アンカーを制御するための鍵だ」
IV. ガーディアンの試練とロストバンブーの真実
オリジン・ガーディアンは、キャプテン・パンダに最後の試練を与えた。それは、キャプテン・パンダが持つロストバンブーの力の最終的な制御を試すものだった。
「キャプテン・パンダ。お前の力は、時間だけを操るものではない。それは、現実の選択(リアリティ・チョイス)の力だ。このアンカーの真実を見るには、お前自身の最も恐れる選択と向き合う必要がある」
ガーディアンの力により、ブリッジの床が開き、キャプテン・パンダは、ロストバンブーのエネルギーが渦巻く、「選択の泉」へと落とされた。
泉の中には、キャプテン・パンダが探検の途中で下した、「もし違う選択をしていたら」というパラレルワールドの映像が次々と映し出された。
- もし、国際都市でブラッド・スカウターを殺していたら?
- もし、マミーパンダのメッセージを無視して地球に残っていたら?
- もし、仲間を一人でも見捨てていたら?
彼は、仲間たちが悲劇的な結末を迎える世界や、自分が暴君と化している世界を見せつけられた。
「うっ……やめろ!」キャプテン・パンダは、絶望的な未来の映像に苦しむ。
その時、チーチャイの声が響いた。「キャプテン・パンダ!恐れないで!あなたは、正しい選択をしてきた!その現実を、あなたの力で再構築(リコンストラクト)するのです!」
キャプテン・パンダは、彼の核から放出される緑の光を、青と緑の混ざった安定した光へと変えた。彼は、目の前の絶望的な映像を否定するように、自身の力を使った。
「俺が選ぶ現実は、これだ!俺は、この仲間たちと共にいる世界を選ぶ!」
キャプテン・パンダの現実固定(リアリティ・フィックス)の力により、選択の泉の映像は消滅し、彼はブリッジに戻った。
V. アンカーの制御と次元の監視者
「見事だ、キャプテン・パンダ」ガーディアンは微笑んだ。「お前は、ロストバンブーの力を、破壊のためではなく、創造と安定のために使う真の資格を得た」
ガーディアンは、青白く輝く「次元の狭間の種」をキャプテン・パンダに手渡した。
「この種を、マルチバース・アンカーに組み込め。そうすれば、お前たちはアンカーの新しい監視者となり、この銀河の次元の安全を守ることができる」
キャプテン・パンダは、種を起源の根のコアに組み込んだ。すると、巨大なロストバンブーの根全体が、穏やかな光を放ち始めた。
この瞬間、パンダ探検隊は、地球上の冒険家チームから、「次元の狭間を守る銀河の守護者」へと昇格したのだ。
VI. エピローグ:新たな脅威の出現
次元の狭間を去るため、パンダ・エクスプレスはワープの準備を進めていた。
リン・メイは、アンカーのシステムに記録されていた、古代パンダ文明の真の記録を解析していた。
「キャプテン、古代の記録によると、ロストバンブーが文明を救った一方で、その力を狙った『次元の捕食者(ディメンション・プレデター)』と呼ばれる、別の勢力がいたらしいわ」
メリーが暗い顔で報告する。「その捕食者のシグナルが……今、私たちの銀河の遥か外縁で検出されたわ。彼らは、ロストバンブーのエネルギーを食らい尽くす存在よ」
キャプテン・パンダは、ブリッジから窓の外を見つめた。次元の狭間を超えた、遥か遠い宇宙の端に、黒い亀裂のような歪みが広がっているのが見えた。
「そうか。俺たちの使命は終わっていなかったか」キャプテン・パンダは、胸元の核が放つ穏やかな光を感じながら、決意を新たにした。
「次の戦いは、銀河全体を守るための、次元の捕食者との戦いになりそうだ。よし、全隊員に告ぐ。パンダ・エクスプレス、新たな脅威を追って、銀河外縁部へ向けて、発進準備!」
パンダ探検隊の物語は、多次元を超えた、さらに壮大なステージへと続いていく。
(続く:次元の捕食者編へ)
🌌 小説:パンダ探検隊:秘境のロストバンブー|シーズン9:次元の捕食者編
最終章:マルチバースの崩壊

I. 監視者たちの警告と黒い亀裂
パンダ探検隊がネビュラ・プラントを再構築した「パンダ・ゲートウェイ」を拠点に、次元の狭間とマルチバース・アンカーの監視を始めて数ヶ月。隊員たちは新たな日常に慣れつつあったが、緊張感は高まっていた。
「キャプテン、銀河の外縁部、座標X-77で特異なエネルギー減衰を検出しました。まるで、空間そのものが食い尽くされているような……」メリーが緊迫した声で報告した。
メインパネルに映し出されたのは、宇宙の闇に広がる巨大な「黒い亀裂」だった。それは、ロストバンブーのエネルギーを貪る次元の捕食者の出現を示していた。
宇宙パンダのチーチャイは、古代パンダの記録を解析し、深刻な表情で説明した。
「キャプテン・パンダ、捕食者は生命体ではありません。それは、崩壊した無数のパラレルワールドの残骸、つまり『非現実(ノン・リアリティ)』が具現化したものです。ロストバンブーが現実(リアリティ)を固定するアンカーである限り、彼らはそれを破壊しようとします」
リン・メイは、亀裂の拡大スピードを計算し、戦慄した。「このペースだと、数ヶ月で銀河系全体が侵食されるわ。彼らの最終目的は、アンカーを破壊し、すべての現実を無に帰すことよ」
キャプテン・パンダは、胸元のロストバンブーの核を握りしめた。シーズン8で覚醒した彼の「現実固定(リアリティ・フィックス)」の力だけが、この「非現実」を打ち消す唯一の手段だった。
「フェリックス、エクスプレスに『アンカー・シールド』を搭載しろ。タケシ、ラビット、戦闘準備。俺たちが、最後の防波堤だ」
II. 銀河外縁部での激戦
パンダ・エクスプレスは、侵食が始まった銀河外縁部へと急行した。そこは、星々が既に捕食者によって無数の四角い穴が穿たれたかのように、空間が欠落し、不安定になっていた。
探検隊を待ち受けていたのは、組織や知性を持った敵ではなく、純粋な虚無の力だった。捕食者は、黒い霧、あるいは、明確な形を持たない多角形の影として出現し、接触した船体や物質を、まるで存在しなかったかのように消滅させた。
「タケシ!来るぞ!」ラビットが叫ぶ。
タケシのG-Suitは、捕食者の放つ「次元の波動」に触れた途端、装甲の一部が跡形もなく消え失せる。
「くそっ、攻撃が効かない!奴らは現実じゃないから、ターゲットに定まらない!」タケシは焦燥し、防御に徹する。
メリーはブリッジで分析する。「彼らは通常の物理法則の外にいるわ!普通の兵器は、彼らに一瞬の現実を与えることになり、すぐに吸収されてしまう!」
キャプテン・パンダは、ロストバンブーの光を放ちながら、単身、捕食者に向かって飛び出した。彼の光は、捕食者を一時的に遠ざけるが、根本的な解決にはならない。
「チーチャイ、教えてくれ!奴らをどうすれば倒せる!」
「キャプテン・パンダ!彼らは『現実』が定義されるのを最も恐れます!あなたの『現実固定』の力で、彼らの存在を『虚偽(フォールス)』だと確定させるのです!」
キャプテン・パンダは、全身にロストバンブーの力を集中させ、不安定な空間全体を包み込むように、青と緑の混ざった安定した光を放射した。
「俺が、この現実を真実とする!固定(フィックス)!」
キャプテン・パンダの力により、捕食者の「非現実の体」は激しく揺らぎ、輪郭を失い、最終的に、何も存在しなかったかのように虚無へと消滅した。
III. 捕食者の王:コズミック・ヴォイド
しかし、一体の捕食者が、キャプテン・パンダの現実固定に耐え、巨大な黒いパンダの影のような姿へと変貌した。その体は、無数の次元の残骸と、ねじ曲がった時間軸の光でできていた。
「よくぞ、この私を『定義』した。私は、コズミック・ヴォイド(宇宙の虚無)。ロストバンブーが安定させたすべての現実に存在する、必然的な崩壊の意志だ」
ヴォイドの声は、無数の絶叫と静寂が混ざったような、聴く者の精神を破壊する周波数だった。
「パンダ。お前たちが守るものは、偽りの秩序だ。すべての現実は、いずれ私に還る。お前のロストバンブーの核も、起源の門も、私が食らい尽くす!」
ヴォイドは、銀河系全体を覆うほどの巨大な次元の波動を放出し、パンダ・エクスプレスとパンダ・ゲートウェイ、そして次元の狭間全体を同時に攻撃し始めた。
リン・メイは叫ぶ。「次元の狭間に、侵食の亀裂が生まれてる!ヴォイドは、マルチバース・アンカーを直接狙っている!」
IV. アンカーの防御と究極の選択
キャプテン・パンダは、ヴォイドを追って、急いで次元の狭間に戻った。そこでは、起源の門とマルチバース・アンカーが、ヴォイドの次元波動によって激しく侵食され、無数のパラレルワールドの断片が剥がれ落ちていた。
「チーチャイ!アンカーをどうにかして守れないのか!」
古代の技術とパンダ・エクスプレスのシールドをもってしても、ヴォイドの非現実の力を完全に防ぐことはできない。
「キャプテン・パンダ!アンカーは、あなたの現実固定の力でしか守れません!しかし、これほどの規模の攻撃を固定するには、あなたのロストバンブーの核、あなたの存在すべてを、アンカーのコアに接続しなければならない!」
それは、キャプテン・パンダがロストバンブーの核と一体化し、時空を超えた存在になることを意味した。彼が人間(パンダ)としての自我を保てる保証はなかった。
「キャプテン、ダメよ!そんなことをしたら、あなたは、もう……!」リン・メイが涙を流して止める。
しかし、キャプテン・パンダは決意していた。
「俺は、マミーパンダの使命を継いだ。そして、俺は、この現実のすべてを選んだんだ。タケシ、ラビット、リン、フェリックス、メリー、チーチャイ……俺の仲間がいるこの世界を、虚無になんかさせない!」
キャプテン・パンダは、最後の力を振り絞り、自身のロストバンブーの核を、マルチバース・アンカーの中心コアへと接続させた。
青と緑の光が混ざり合った、超次元的なエネルギーが爆発した!
「現実固定!マルチバース・フィックス!」
光はヴォイドの「非現実の体」を貫き、ヴォイドの存在そのものを、「存在しないもの」として定義し直した。ヴォイドは、黒い悲鳴を上げながら、無数の次元の残骸へと分解され、完全に消滅した。
次元の狭間は、キャプテン・パンダの力によって安定し、マルチバースの崩壊は食い止められた。
V. エピローグ:時空を超えた守護者
数年後。
パンダ・ゲートウェイは、次元の狭間を守る「マルチバース・ウォッチタワー」として、銀河の平和を静かに見守っていた。探検隊の仲間たちは、それぞれの役割を全うしていた。
リン・メイとチーチャイはアンカー・コアの制御を、フェリックスはゲートウェイの技術開発を、タケシとラビットは銀河のパトロールを担当し、メリーは膨大な情報網の分析に当たっていた。
彼らの目の前には、キャプテン・パンダの姿はなかった。彼は、ロストバンブーの核と一体化し、マルチバースそのものの意識となったのだ。
しかし、彼らが会話する時、ふとした瞬間に、ブリッジの空気、あるいは彼らの心臓の鼓動が、一瞬だけ止まるのを感じる。それは、キャプテン・パンダが、時空を超えた守護者として、今も彼らと共にいる証拠だった。
タケシが、訓練用のG-Suitを調整しながら、静かに微笑む。「キャプテンは、どこにでもいるんだ。この風の中にも、俺たちの時間の流れの中にもな」
ラビットが、チーチャイが開発した新種のニンジンをかじりながら、空を見上げた。「ねぇ、キャプテン。新しい探検の計画を立てたんだけど、聞いてる?」
その瞬間、メインコンソールのディスプレイに、青と緑の光が走り、自動的に次の旅の座標が入力された。それは、探検隊の誰も知らなかった、新しい次元(ニュー・ディメンション)を示す座標だった。
リン・メイは、驚きと喜びの声を上げる。「キャプテンよ!彼は、まだ私たちに次の旅を求めているわ!」
「よし!」タケシは叫んだ。「全隊員に告ぐ!パンダ・エクスプレス、新たな次元へ向けて、発進準備!」
キャプテン・パンダの「時間と次元の守護者」としての旅は、姿を変えて、永遠に続いていく。
(完結)


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